君が隣にいれば (短編)
放課後。
部活のある子たちはとっくに姿を消した教室の窓際から、ぼんやりグラウンドを眺めるのが私の日課。
段々とオレンジ色に染まっていくグラウンドを見るのがすごく好きなんだ。
ここからは野球部の練習風景がよく見える。
クラスメイトが練習に励んでるのを見ると、私って青春を無駄遣いしてるかも、なんて気がしてきて。
そろそろ帰ろうかな、と思ったとき。
さっきから教室の隅で大量のプリントを抱えながら、ホチキスでパチンパチンと格闘していたフジコちゃんが突然叫んだ。
「しまった、間違ってたー!」
フジコちゃんていうのは副担任の佐藤不二子先生のこと。
今年大学を卒業したばかりで歳が近いから、先生というよりもお姉さんみたいな存在。
美人だけどちょっと抜けてる彼女は、親しみを込めてそう呼ばれてる。
「どしたの、フジコちゃん」
「授業のプリント、順番間違えて綴じてたの。
これから体育館にも顔出さなきゃいけないのに…」
そういえばフジコちゃんはバレー部の顧問。
腕時計とにらめっこしながらブツブツつぶやいてる。
「順番入れ替えればいいの?
やってあげるよ。
私、帰宅部だし」
私が言うと、フジコちゃんは目をうるうるさせながら、コクコク頷く。
「ありがとー。
本当に助かる」
手にしていたプリントの束を私の目の前に並べると、
「部活終わったら戻って来るからね」
そう言い残してフジコちゃんは体育館に向かった。
部活のある子たちはとっくに姿を消した教室の窓際から、ぼんやりグラウンドを眺めるのが私の日課。
段々とオレンジ色に染まっていくグラウンドを見るのがすごく好きなんだ。
ここからは野球部の練習風景がよく見える。
クラスメイトが練習に励んでるのを見ると、私って青春を無駄遣いしてるかも、なんて気がしてきて。
そろそろ帰ろうかな、と思ったとき。
さっきから教室の隅で大量のプリントを抱えながら、ホチキスでパチンパチンと格闘していたフジコちゃんが突然叫んだ。
「しまった、間違ってたー!」
フジコちゃんていうのは副担任の佐藤不二子先生のこと。
今年大学を卒業したばかりで歳が近いから、先生というよりもお姉さんみたいな存在。
美人だけどちょっと抜けてる彼女は、親しみを込めてそう呼ばれてる。
「どしたの、フジコちゃん」
「授業のプリント、順番間違えて綴じてたの。
これから体育館にも顔出さなきゃいけないのに…」
そういえばフジコちゃんはバレー部の顧問。
腕時計とにらめっこしながらブツブツつぶやいてる。
「順番入れ替えればいいの?
やってあげるよ。
私、帰宅部だし」
私が言うと、フジコちゃんは目をうるうるさせながら、コクコク頷く。
「ありがとー。
本当に助かる」
手にしていたプリントの束を私の目の前に並べると、
「部活終わったら戻って来るからね」
そう言い残してフジコちゃんは体育館に向かった。