その告白、信じますか?

「こんにちは」


角のお花屋さんの前で声をかけられた。

「おでかけですか?」


にっこりと可愛らしい笑顔を向けてくれるのは、お花屋さんの店員、杉野さん。


「はい。久しぶりに買い物に行こうと思って。」


杉野さんの近くまで歩み寄る。

背が小さくて華奢な杉野さんには、ボブカットの髪がよく似合う。


このルックスでお花屋さんなんて、守ってあげたい女の子の代表みたいな人だ。


「あ、今年も母の日のお花、よろしくお願いします。」


一人暮らしをはじめてすぐの母の日。
プレゼントに、ここからお花を送った。

杉野さんとはその時からの知り合い。


お手頃な値段で、かわいい花束をアレンジしてくれるから、何かあるたびにお願いしている。


「じゃあまた時間あるときにお店に顔出してもらえますか?
アレンジの相談したいので。」


「わかりました。」

それじゃ、とお互い頭を下げ、手を振って別れた。



角を曲がるとすぐ、桜並木がやってくる。

散り始めた花びらでできた絨毯を踏みしめて、空を見上げると、うっすらピンク色。


うん、やっぱり今日は最高な気分!


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