その告白、信じますか?


「おもー‥」


お菓子やおつまみも買うと、けっこうな量になった。

両手にスーパーの袋を提げて、ゆっくりと桜並木の中を歩く。

今週の半ばに降った雨で、桜はほぼ散ってしまった。


「花見って感じじゃなくなっちゃったなぁ‥」


まぁもともと部屋飲みだから、花もろくに見ずに終わるんだけど。


花屋さんの角を曲がり、ずれてきた袋を持ち直した時。


「コータ!」


お店の中から女の人の声がした。


「まだなんかあるのかよ‥」


答えている男の人の声に聞き覚えがある。


「これもお願い!」

「はぁ?めんどくせぇなぁ~」


「‥何か言った?」

「‥いえ。」



二人のやり取りが聞こえる。


私はスーパーの袋をしっかり握り、こっそりと店内を覗いた。



そこには、大きな段ボールを持つ航太くんと‥杉野さんの姿があった。



「航太のおかげで、搬入助かった~!
よく働くってお父さんも褒めてたよ!」


「はいはい。
そうやってまたこき使おうと思ってんだろ?」



航太くんがこちらを振り向きそうになって、私は慌てて店の前を走り抜けた。



エントランスをくぐり、エレベーターのボタンを押す。



「あの二人、知り合いだったんだ‥」


仲良く並んで話す二人の姿を思い出す。

「かなり親密な感じだったな‥」


エレベーターに乗り込み、ひとり呟く。

なぜか気分が落ち込んでいる自分がいた。


「いやいや、別にどうでもいいじゃん!
なんかびっくりしただけだしね!」


私は大きく言って、もやもやする気持ちを振り払った。


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