その告白、信じますか?


ちょうど準備も終わり、出た洗い物やごみ捨てを済ませた頃、徹平と琢磨がやって来た。


「お邪魔ー!」

琢磨がテンション高く入ってくる。

その後ろから徹平。


結婚式からまだひとつきも経っていないのに、なんだかすごく久しぶりに感じる。


靴を脱ぎ、スリッパをはく。

私の好きな筋ばった手。


・・・ドキドキする。


徹平がそこにいる、というだけで、体温が上がった気がする。


顔、赤くないかな。


頬に手を当てて深呼吸をする。


「これ、綾好きだったよな?」


徹平から紙袋を手渡された。

「後で食べようと思って買ってきた。」

にこりと微笑む徹平に、一気に心拍数が上がる。


紙袋の中身は見なくてもわかる。

大学の頃、徹平の家の近くにできたケーキ屋さん。

そこのシュークリームがたまらなく好きで、よく買ってきてもらっていた。


「覚えてくれてたんだ‥」


私の言葉に、徹平が笑った。


「そりゃ覚えてるよ。」


「‥何回も買ってきてもらったもんね。」


ふふ、と笑って紙袋の中をのぞいた。

甘い香りがこぼれてくる。


「あやー!
火つけていー?」


琢磨の声がして、私は慌ててシュークリームの箱を冷蔵庫に入れた。







テーブルを囲んで鍋に材料を入れる。


「なんで先にお肉入れちゃうかなぁ!」

「俺は肉が食いたいんだよ!」

「火が通りすぎて固くなるでしょ!バカ!」


みちると琢磨が向かいの席で、材料を入れる順番でもめている。


徹平が苦笑しているのを、私はこっそり見つめていた。






どうしよう。


私・・・やっぱり徹平が好き。


< 44 / 89 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop