その告白、信じますか?

「相変わらず最高の眺めだなーここ!」

琢磨がベランダ越しに桜並木を見て、言う。


「でしょー?
気に入りすぎちゃって、ここから出ていくの嫌だもん。」


キッチンで洗い物をしながら答えた。


「あ、シュークリームだー!食べようよ♪」

だいぶ出来上がってきたみちるが、冷蔵庫に顔を突っ込んでいる。


「徹平が買ってきてくれたの。」

最後の一枚を洗い終え、手を拭いた。


「お皿いる?このままでいっか?」


食器棚に手をのばしかけて、冷蔵庫のほうを振り返ると、
みちるがすでにシュークリームを手にしていた。

「徹平!いただきまーす!」


もぐもぐと口を動かしながら、みちるがテーブルの方へ消えていった。

「‥お皿はいらないみたいね。」


冷蔵庫から残りのシュークリームを取り出して、私もテーブルへ戻る。


「久しぶりだなー、ここのシュークリーム!」


琢磨がやってきて、4人でシュークリームを食べた。


クッキーみたいなサクサク生地の皮に、バニラビーンズの効いたクリームが絶妙に美味しい。


「幸せー!!」


甘いものって、なんでこんなに幸せな気持ちになるんだろう。


「綾のそれも、久しぶりだな。」


徹平が笑ってこっちを見ていた。


「幸せ~!」


琢磨が眼を閉じ、ふるふると震えながら高い声を出す。


「え、もしかしてソレ私の真似!?」


こんなぶりっこみたいなリアクションを自分がしていたのかと、軽いショックを受けていると、


「似てないし。きもちワル。」


みちるが低いトーンで呟いた。


一瞬にして場の空気が凍る。


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