私の鬼畜な天使様
『じゃベッドから出て』

『それはいやだ』

私を触らないように両手を上げ、それでも小さな子供のように意地を張るフェイト…なんか…。

『ふっ、』

可笑しい。

『あーなんだよ!泣いたと思ったら笑いやがって変な奴!』

『いやフェイトも相当…ふ、変わって…っ』

『くっそ、笑うなって!人間ってみんなこうなのか?よく感情ころころ変えて疲れねーのな。あーあ、わっかんねー!』

ぷい、と顔を背け『ちくしょーなんだよ』とか『涙とかマジ初めて見てびびったつの』とかぶつぶつ言ってるそっちも見てて飽きないよ、とか言おうと思ったけど止めた。また面倒な事になってもやだし。

それに2人分の熱で温められた布団がやけに心地よかったから。遥か昔、幸せだった頃の記憶の断片がふわふわと漂いついでにまぶたも重くなってきて。

『ねむ…』

『はあ?おま、っ…この状況で寝るって…泣くほど嫌なんじゃねーの?つかこの体制辛いんだけど…ずっと手ぇ上げてなきゃなんねーの?おい、蜜柑!』

わたわたしても男前は男前なんだなあ。まあぶさいくな天使なんか居ないか。

『蜜柑!おい!』

今日は天使拾って殺されそうになっておっきな犬が来て泣かされて笑わされて…それでも隣にだれか居るって。

『あったかいなあ』

『は!?何言って…』

久しぶりに今日は嫌な夢を見ないかも、

だったら…いいな。

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