カリソメオトメ
「あんたの親に話したよ、それ」
「え……?」

「このままじゃ間違いなくあんたは死ぬ」
「別にあんたには関係ないじゃん」

「あたしがウリやってた頃、あんたはあたしに止めろって何度も言ったろ。あんたには関係なかったのに、ね」
「……」
「もう戻れないかもしんないけど、あんた本当にこのままでいいの?」
 彼女は俯いて唇を噛む。ドラッグなんぞを勧めたその男は屑だ。そいつはきっと、自分の人生は自分のモノだから自分の好きにやらせろとか調子のいい屁理屈でも吐くだろう。そいつが勝手に壊れて死ぬのは構わない。だけど、どうして周りを巻き込もうとするのだろう。一人で壊れる度胸もない奴が偉そうに語るなと思う。

「それきっちり抜いて、クリーンになれよ」
 あたしは意識して彼女を突き放した。これは間違いなく、あたしの傲慢だ。この子の親は全く気付いてなかった。ドラッグは専門施設でなければ絶対に抜けないことなんてあたしでも知ってる。彼女が助かるのならば、あたしは怨まれてもいいと思った。親にチクったんだから、きっともう二度と会うことはないだろう。専門施設での治療は相当キツイというから、憎まれても仕方がないと思う。

 あたしは彼女を睨みつけて、「抜かないんならそのまま死ねよ、糞ジャンキー」と吐き捨てて部屋を出た。
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