空を自由に飛ぶことができたら。
洗い流して。
 雨が降っていた。

 やむことのない、土砂降りの雨だった。

 この心は、どうやって洗い流せばいいのだろう。

 どうやって忘れればいいのだろう。

 わたしは自分の心に話しかけた。

 けれども、誰も答えてはくれなくて、

 声は聞こえなくて、

 雨の音だけが切なく、無情に響き渡る。

 また・・・・・。

 独りになった。

 わたしは、

 孤独だ。

 お願いだから・・・・・。

 お願いだから・・・・・。

 わたしを、

 独りにしないで。

 独りにしないで。

 雨は強くなっていく一方で、やむ気配など微塵も無かった。

 その雨が肌に突き刺さる。

 わたしの心にも突き刺さる。

「独りにしないで・・・・・・・・・・。」

 呟いたその声は、闇に消えた。

 激しく降り続いた雨は、

 わたしの心を洗い流すことなく、

 わたしの涙と混じって、

 ゆっくりと地面へ落ちて行った。



 

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