この声が届くまで





「 何か、言ってよ… 」




拓は何も言わない

まるで全部知ってるかのように




「 俺ってそんな頼りない? 」

「 そんなこと…… 」

「 ま、愛彩にとっての俺ってそんなもんだよな 」




違うのに、そんなんじゃないのに

涙が先に立って上手く言葉がでない


繋がれた手だけ、拓は背を向けたまま




「 拓が好きだよ、そんなんじゃないよぉー… 」




そのとき初めて愛彩を見た

拓は笑ってた





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