地味女が巻き込まれました。【下完】
「あぁ、あの事本当だったんだ。…記憶喪失ねえ。」
「いいからっ…教え…」
トンッ
突然、人差し指を唇に置かれ、黙り込む。
「知らない方が幸せな事もあるんだよ。………それに次期君はわかるさ。」
「……」
「まあ、きっと君とは近い内に会えるだろう。」
何とも雰囲気に合はない暢気な声で言い、私の肩を軽くトントンと叩いた。
今だったら廉達に勝てた筈なのに、部下に撤退命令をかけ、風の様に私達の元を去って行った。
本当にあの男は何だったのだろうか……?
疑問は増すばかり。