地味女が巻き込まれました。【下完】
「フォッフォッフォッ…、気分の方は如何かな?」
重たい瞼を開くと、目の前には懐かしい老人の顔があった。
綾香の担当医で、確か…渡辺太郎【ワタナベタロウ】だったっけか。
意外にも、記憶はポンポン頭から出始めた。
「渡辺先生!綾香は何処に!?」
少し、叫んだだけなのに、頭に痛みがビリッと走る。
「まだ、目覚めたばっかじゃ。1ヶ月も眠っていたんじゃ、先ずは自分の体を休めなさい。」
「でも、先生!綾香が危ないんです!」
「ダメじゃ。安静にしていなさい。」
渡辺先生は、そう告げるとタタッと部屋を出ていってしまった。