ミルフィユと猫被り
俺が顔を上げると、兄貴は、苦しそうに顔を歪めながら俺を睨む。
「『ごめん』でなんか、済まさねぇからな?お前は、月華に告られてんだもん。…余裕なもんだよな。」
俺の中身をぐるりとえぐる…
…嫌な響きがした。
「俺、この作戦下りるから。」
長い長い沈黙のあと、兄貴は、それだけ言ってドアノブに手をかけた。
「ま、せいぜい頑張れや。バレたら終わりだろうけど。」
その言葉だけを置いて。
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