ミルフィユと猫被り
兄貴は、見た目以上にお人好し人間だってこと、忘れてたから。
兄貴は、すべての罪をかぶる希なんだろう、と思ったから。
『えええぇっ?!』
複数の叫び声がした。
俺は心の中で終わってしまった、とつぶやいた。
作戦が走馬灯のように浮かぶ。
兄貴は、いつでも俺中心に考えてくれてたんだ、と思いながら。
肩で息をしながらリビングの扉を開くと、飄々とした梅田姉妹が扉を見つめるようにして立ち、母さんと兄貴がこちらに背を向けるように立っていた。
俺は、何だかおかしいと思った。