手をつなごう
いきなり……開けなくても…。


心の準備が出来ていなかった私は、全身に変な汗をかいた。



「…あらっ。未唖ちゃん??未唖ちゃんでしょ!!やだぁ綺麗になって……。」

っと話しかけてきたのは、賢くんのお母さんだった。


「おばさん…お久しぶりです。」

私は深々と挨拶をして、ふとベッドに目をやると…


そこに寝ているのは、紛れも無く賢くんだった。


頭には、白い包帯が巻かれ…顔にはいくつか、切り傷がある。
そして布団から出された腕に点滴をされながら彼は眠っていた。



「…本当この子ったら、親に心配ばかりかけるんだから……。」

そう言いながら涙ぐむ、おばさんを宥めながら、私は賢くんへと近づいた。


私が…点滴の様子を見に来ている看護士さんを見つめると、彼女は少し笑顔を交えながら…寝ているだけだから大丈夫だと、私に言った。
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