スノー・センチメンタル
濡れていないなら……乗せてやってもいいか。


そういう問題じゃないけど、じゃあどういう問題かと問われたら、きっと私は答えられない。だからいいや、別に。死ぬのなんかいつだって出来る。死ぬ前に人助けも悪くないかも。



「いいよ。じゃあ乗って」

「やっふぅー」

少年は、真っ直ぐ伸ばした右腕を空に向かって突き上げ、同時に膝を折った右足も上げて、その場でピョンと飛び跳ねた。すこぶる嬉しそうだ。というかこれ、高校生男子の喜びの表現としては、幼稚過ぎないだろうか……。



こうして、不思議くんとのドライブは幕を開けた。死ぬのは後回しだ、仕方ない。


< 9 / 48 >

この作品をシェア

pagetop