おじさんって言うな! 〜現役JKに恋した三十男の物語〜
 さすがに有希は女の子だけあり、洋服屋やアクセサリーショップなんかの前では脚を止め、並んだそれらをよく眺めていた。

 しかし、「中に入れば?」と俺が言っても「ううん、いい」と有希は言うばかりだった。


「うわあ、可愛い……」


 有希は、ファンシーショップっていうのかな? 俺はよく知らないが、雑多なものが所狭しと並んだショップに置いてある、白いウサギの縫いぐるみを見て声を上げた。

 真っ白い毛がモコモコのその縫いぐるみは、俺が見ても可愛いとは思ったが、それを見て目を細める有希は、その数倍、いや数十倍可愛いと思った。


 俺は値札を素早くチェックし、


「買ってやるよ」


 と言った。


< 117 / 206 >

この作品をシェア

pagetop