おじさんって言うな! 〜現役JKに恋した三十男の物語〜
 すると有希は、パッと俺に顔を向けた。あまりに顔が近いので、俺はドキッとした。ちょっと舌を出せば、有希の形のいい可愛らしい鼻の頭を、ペロっと舐められそうなぐらいに。

 元々俺が有希の顔に自分の顔を近づけていたって事なのだが。自分でも気付かない内に。いや、ほんとに。


 有希は黒目がちの目を大きく見開き、驚いた顔をした。そしてすぐに、


「いいよ。お金がもったいないから」


 と言った。しかし俺は、その前に有希がほんの一瞬ではあるが、嬉しそうな顔をしたのを見逃していなかった。


「このぐらいどうって事ないから、買ってやるって」


「いいってば。誕生日でもあるまいし……」


「そういやおまえ、誕生日っていつだ?」


「ん? 7月8日だよ?」


「へえー、俺のと似てんな?」


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