おじさんって言うな! 〜現役JKに恋した三十男の物語〜
 そんな疑問やショックを抱えつつも、俺は大人らしく、


「待ち合わせの場所と時間は?」


 と有希に聞いた。


「駅に1時……」


 有希はボソリとそう答えた。

 ダッシュボードの時計に目をやると、既に1時を10分ほど回っていた。今から駅に直行したとしても、着くのは2時か……


「行かないなら、せめて連絡ぐらいはしてやれよ?」


「イヤ」


「なんで?」


「あの人、シツコイんだもん。今日だって私は用事があるって言ったのに、信じてくれなくて、“待ってるから”って、勝手に……」


 つまり有希は、俺との先約を優先してくれたわけか。正直嬉しいが、普通、彼氏とのデートより優先するか?

 もしかして、彼氏とうまく行ってないのかな。だったら、いいなあ。

 なんて考えはよくないだろう、自分!

 でも、考えちゃうよなあ……


< 128 / 206 >

この作品をシェア

pagetop