おじさんって言うな! 〜現役JKに恋した三十男の物語〜
 駅に近付き、ロータリーの手前で俺は車を停車させた。

 駅の階段の下。丸い柱を背にして、一人の若い男が呆然とした感じで突っ立っているのが見える。


「あいつか?」


 と聞くと、有希は目を見開いたまま「うん」と頷いた。

 あいつは1時間かそれ以上、ああして有希を待っていたわけだ。健気なもんだな。

 有希の彼氏は、髪は染めてないらしく黒で、眼鏡を掛け、痩せ型で普通の若者って感じだ。遠くてよくはわからないが。


「行ってやれよ?」


「うん……」


 有希はゆっくりした動作でシートベルトを外し、ドアを開けて車を降りた。


「じゃ。今日は買い物に付き合ってくれてありがとうな?」


 俺は無理に笑顔を作り、そう言うと、


「待ってて?」


 と有希は言った。


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