おじさんって言うな! 〜現役JKに恋した三十男の物語〜
 すると有希は、

「逃げて来たの」と言った。


「逃げた?」


 俺は、咄嗟にさっき見た妄想を頭の中でリプレイさせた。つまり、有希が男に組み敷かれ、苦痛に顔を歪ませる映像を。あ、快感でってのはなしだ。有希はそんなハシタナイ子じゃないからな。


「私は彼と少しだけ話をするつもりだったのに、いきなり抱き着かれて……」


 うん、そこまでは見たよ。その後はどうなったんだ?


「いきなりキスして来たから……」


 クソッ

 やっぱりそうか。あのヤロウ、俺の有希になんて事を……!


 俺は怒りと嫉妬でカーッと頭に血が上り、有希の肩を両手で掴んだ。


「有希、消毒しよう?」


「しょ、消毒?」


「ああ、アルコール消毒だ」


 俺はそう言うと、有希のぽっちゃりしたサクランボみたいな唇に、俺の酒臭いであろう口を、重ねていった……


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