おじさんって言うな! 〜現役JKに恋した三十男の物語〜
 今回、俺の経験則は破られた。いや、考えようによっては経験則通りだったのかも。


 ドアの外に立っていたのは、正体不明のおばちゃん……ではなく、有希だった。


 思いもよらない有希の出現に、俺は言葉をなくしていた。

 あ。思いもよらないって事は、やはり今回も経験則通りって事になるな。


「二日酔いは治ったの?」


 有希の第一声はそれだった。

 昨日みたいに怒ってはいないようだ。と言っても、機嫌が良さそうにも見えないが。


「あ、ああ。なんとかね。俺が二日酔いだったって、よく解ったな?」


 有希はそれには答えず、


「入っていい?」


 と言った。


「も、もちろん」


 俺が噛みながら答えると、有希は玄関で靴を脱ぎ、それをきちんと揃えると、俺の前に立った。


 不意に、有希が来てくれた事への喜びが、俺の中で沸き起こり、


「有希……!」


 そう叫びながら、俺は有希の華奢な体を、力いっぱい抱きしめた。


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