おじさんって言うな! 〜現役JKに恋した三十男の物語〜
 “おまえ、掃除なんか出来るの?”


 とっさにそう言いそうになり、俺は慌てて口をつぐんだ。そんな軽口を言って有希が機嫌を損ね、“帰る”なんて言い出したら大変だから。


 実際、その疑問はあったのだが。


「いや、お客さんにそんな事させられないよ」


 代わりにそんな無難な事を言ったら、


「やだあ、私はお客さんじゃないよ……。時間短縮になるから、そうしようよ?」


 そう言われては、「わかった。じゃあ頼むわ」と俺は言わざるをえなかった。


「じゃあ……」と言いながらダウンを脱ごうとする有希に、


「用事があるのか?」


 と俺は聞いた。

 有希が時間の事を言ったので、俺はそれが気になった。もっと具体的に言えば、今日も彼氏とデートの約束があるのか。それが気になったのだ。ストレートに聞く勇気はないのだが。


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