おじさんって言うな! 〜現役JKに恋した三十男の物語〜
 いきなり有希の名前が出て俺はびっくりした。


「なんでわかったんだ?」


「他にいないでしょ? あんたには」


「そんな事わからないだろ? 例えば隣の正体不明のおばちゃんとか……」


 俺をアパートで出迎えてくれるのが有希ではなく、隣のおばちゃんだったとしたら……

 うっかりそんなおぞましい想像をしてしまい、俺は頭を振ってそれを消し去った。


「誰よ、それ?」


「い、いや、何でもない」


 そこへウェイトレスがコーヒーを持って来た。

 俺は砂糖もミルクも入れるが、金沢はブラックで飲む。営業していると、その方が何かと都合がいいらしい。


 俺が下を向いてコーヒーに砂糖を入れていたら、「ハァー」という金沢のため息が聞こえた。


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