おじさんって言うな! 〜現役JKに恋した三十男の物語〜
 “なんてね”?


 その言葉で、俺は妄想の世界から一気に現実に引き戻された。と言っても、ほんの1秒かそこらの僅かな瞬間の事ではあったのだが。


「おじさん。今、一瞬真に受けたでしょ?」


 少女は、俺の心を探るかのような目で見てニッと笑った。

 ばれたか……。そう思ったが、俺は動揺を隠しながら、


「ま、まさか。冗談だって、すぐ解ったさ」


 と言った。つい目は逸らしてしまったけど。


 しかし「ふーん」とか言って俺の言葉を信じてなさそうな少女に、俺は少しムッとしながら、再度教育的指導をしようと思った。


「相手が俺だからよかったようなものの、この状況でそんな冗談を言ったら、“襲ってください”と言ったも同然だぞ?」


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