おじさんって言うな! 〜現役JKに恋した三十男の物語〜
「ヒーターは入れたけど、暖まる前に着いちゃうだろうなあ」


 俺は愛車のエンジンを掛け、冷たいハンドルを握って助手席の少女に向かって言った。


「道案内を頼むぞ?」


「はーい」


 中古で買った愛車は、排気量も馬力も小さいが、その割にはよく回るエンジンで結構気に入っている。しかしもっと馬力のある車を運転してみたいので、来年、車検が切れる時にもっと大きな車に買い換えようか検討中だ。そのための貯金はしてあるし……


「まだ真っ直ぐでいいのか?」


「うん、たぶん」


「あ、そう……」


 走り出してから結構経つが、右にも左にも、一度も曲がっていなかった。車内はヒーターでかなり暖かくなっていた。


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