おじさんって言うな! 〜現役JKに恋した三十男の物語〜
 意外にも少女は無表情だった。

 黒目がちな大きな目で俺を見るも、その表情からは感情を読み取れない。特に困った風でもない気がした。


 やはり俺の勘違いだったのかな。そう思って立ち去ろうとした瞬間、少女の顔がいきなり笑顔に変わった。そして、


「おじさん!」


 と、少女は大きな声を出した。


 おじさんって、俺の事か?

 俺の周囲には誰もいないし、少女は真っ直ぐ俺を見ているから、たぶんそうなのだろう。


 ぎりぎりだがまだ20代の俺は、人から“おじさん”なんて呼ばれたのは、この時が初めてだった。


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