おじさんって言うな! 〜現役JKに恋した三十男の物語〜
「え? 河村さん、今日が何の日か忘れちゃったんですか?」


「今日? えっと、今日は2月14日だから……、ああ、バレンタインか!?」


「そうですよ。だからこれは、日頃の感謝の気持ちです。受け取ってもらえますか?」


「あ、はい、もちろん。かえってすみません」


 そう言って俺は田中さんからチョコの包みらしきものを受け取った。田中さんはもちろん俺だけにではなく、チームの男性みんなに配っていたのだが。


 その後もあちらこちらの部署の女性が来ては、義理チョコを渡された。有り難くない事もないが、一ヵ月後のホワイトデーの事を思うと憂鬱になった、というのが正直なところだ。


「河村君、今日はモテモテね?」


 聞き覚えのある声に後ろを振り向くと、金沢愛美が立っていた。


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