おじさんって言うな！ 〜現役JKに恋した三十男の物語〜

　金沢愛美は俺と同期入社で、営業部に所属している。スタイルが良く、かなりの美人だが性格は男勝りで、同い年だが俺にとっては姉貴みたいな存在だ。


　彼女とは時々酒を飲みに行く程度の関係で、決して男と女の関係ではなく、そんな雰囲気になった事もなかったのだが、最近になり、一度だけ一線を越えてしまった。


　それは２ヶ月ほど前のある日の事、不意に彼女から酒に誘われた。彼女は仕事の事でストレスが溜まったりすると、よく酒で憂さを晴らすので、その晩もそうだろうと思ったのだが、その日は違った。


　仕事の話かと思ったら、恋の相談だった。と言うより、愚痴だった。

　それまで俺は全く知らなかったが、彼女は上司と付き合っていたらしい。その上司とは、男の俺が見ても男前で優秀な男なのだが、既に結婚して子供もいる人だった。つまり、不倫だ。


「私、彼の事は諦めた方がいいのかな？」


　酒に酔い、潤んだ目でそう言った金沢愛美に、


「当たり前だろ？ そんな悲しい恋なんか止めちまえよ！」