おじさんって言うな! 〜現役JKに恋した三十男の物語〜
 コンビニで幕の内弁当とお新香と発泡酒を買い、それを手にぶら提げてアパートの階段を上がると、俺の部屋のドアに寄り掛かるようにしてうずくまる人影があり、俺はびっくりした。


「おじさん、お帰り」


 俺を見上げ、ゆっくり立ち上がったその人物は、有希だった。


「有希……、おまえ、何してんだよ?」


「おじさんを待ってたに、決まってんじゃん」


 有希はそう言って頬を膨らませたが、顔が真っ青だった。


「バカじゃねえのか? このクソ寒い中を……」


 俺は急いで鍵を取り出し、ドアを開けた。


「ほら、早く入れよ」


「うん。おじゃましま~す」


 コートの上から有希の肩に手を触れると、それは氷のように冷たかった。


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