おじさんって言うな! 〜現役JKに恋した三十男の物語〜
 そしてその笑顔のまま、


「おじさん、ありがとう」


 と言った。その笑顔と声はめちゃくちゃ可愛いけども、芝居が終わってもまだ“おじさん”と呼ぶのはどうしたものか……。もしかして、素で言ってんのか? この子は……


「おじさんって……」


 抗議を込めてそう呟いたつもりなのだが、少女には通じないらしく、黒目がちな大きな目で俺を見上げ、キョトンとしていた。

 まあ、いいか。


「あいつらに絡まれてたのかい?」


「うん、そうみたい」


 “みたい”って何だよ? しかもニコニコして、まるで困った感がないんですけども?


「夜の一人歩きは危ないから、早く帰った方がいいよ?」


 俺は少女にそう言って歩き出した。背後から、『ありがとうございました。おやすみなさい』みたいな言葉が、返って来ると予想しながら。


 ところが、その予想は大きく外れてしまった。


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