おじさんって言うな! 〜現役JKに恋した三十男の物語〜
「そう言えばさ、飯を作ってくれるにしても、家には食材らしいものは何も無いぞ?」


「それは私が買って来るから大丈夫。それより、お鍋とかフライパンとか包丁とか、そういうのはあるの? あと食器や調味料は?」


「あっ……」


 有希から指摘されたそれらを想像してみた。あることは、ある、はずだ。調理器具も食器も、昔一通り揃えたから。

 しかしここ何年も使っていないそれらが、今どういう状態になっているか……


 調味料の類は、間違いなくゴミと化してるはずだ。想像するのもおぞましいゴミに。

 鍋や食器の類は、埃を被ったり錆ついていたり、ゴキブリが……


「無い……に等しい」


 おぞましい想像を中止して俺はそう答えた。


「それって、どういう事?」


 有希は、意味が解らないって感じでキョトンとしている。そんな有希も可愛くて、思わず抱きしめたくなった。


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