イジワル先輩の甘い恋の魔法
マンションの周りには高い建物がなく、ベランダからは景色が綺麗に見えた。
夕日が街をオレンジ色に包んでいた。
「綺麗だなぁ……」
「ん?」
「ここから見える景色」
「だろ?この景色が気に入って、ここに決めたようなもんだからな」
「でもちょっと冷えて来ましたね」
3月とは言え、夕方になるとまだまだ寒い。
「先に入ってますね。黒崎先輩も早く入らないと風邪ひいちゃいますよ」
そう言って、ベランダからリビングに入ろうとした時……。
黒崎先輩に後ろからギュッと抱きしめられた。
身体が“ビクン”と跳ね上がり、それが“ドキドキ”に変わっていく。