イジワル先輩の甘い恋の魔法
「“さん”は、いらない」
「じゃあ、拓真くん?」
「“くん”もいらねぇ」
「えー!無理無理!」
私は首を左右にブンブン振った。
拓真さんか拓真くんが限界。
呼び捨てなんて絶対無理!
「じゃあ“くん”付けの方でいいや」
「何、それ。人が勇気出して呼んだのに」
「人の名前を呼ぶのに別に勇気なんていらねぇだろ?」
「私はいるんです!」
黒崎先輩は女慣れして、女性を呼び捨てで呼ぶなんて平気で出来るかもしれないけど、彼氏いない歴=年齢の私には勇気のいることなんですからね!
「はいはい」
黒崎先輩は少しバカにしたようにそう言ってクスッと笑った。
ムカつく。