イジワル先輩の甘い恋の魔法
校長先生に挨拶したあと、少しばかり雑談して校長室を出た。
校長先生はニコニコして感じのいい中年のおじさん。
話も面白くて、緊張と不安が少しだけ解れた。
「高原さん、タイムシート渡しときますね」
校長室を出た時、前田さんからタイムシートを渡された。
タイムシートは就業時間や休憩時間、業務内容を書き込み、派遣先の責任者の方に印鑑をもらう。
それを月末に派遣会社にファックスで送り、派遣会社から給料が振り込まれる仕組みになっている。
「じゃあ、僕はこれで失礼します。高原のこと宜しくお願いします」
前田さんはそう言って宮崎さんに頭を下げた。
宮崎さんはニッコリ微笑んで頭を下げる。
この人、ちゃんと愛想が出来る人なんじゃん。
なんで私の時には無愛想だったわけ?
「じゃ、高原さん、頑張って!何かあったらいつでも連絡して下さいね」
「はい、頑張ります」
私は前田さんに頭を下げた。
前田さんは1人、階段を降りて行ってしまった。
これから数時間、私の初仕事が始まる……。