イジワル先輩の甘い恋の魔法
仕事は思っていたよりハードだった。
パソコンで入力したり、コピーしたりと。
仕事をしている側から指示を出されることもあった。
「派遣さん!お茶淹れて来てくれる?」
そう言ったのは、ただ1人の男性職員。
席からして、この中で一番偉いポジションの人なんだろう。
「あ、はい!」
私は席を立ち、男性の席に行った。
パソコンの画面を見ながら湯呑みだけ差し出してくる。
それを受け取る時に、首からぶら下げていた名札を見た。
“田中”と書かれていて、この人が田中さんだと初めて知った。
事務室を出て給湯室に行き、お茶を淹れる。
お茶くらい自分で淹れろっつーの!
私はお茶汲みするためにここに来たんじゃない!
そんなこと本人の目の前で言えたら楽なのにな……。