イジワル先輩の甘い恋の魔法
お茶を“どうぞ?”と差し出しても、こちらを見向きもせず湯呑みだけ受け取る田中さん。
無言のまま“ありがとう”も言ってもらえない。
派遣はお茶汲みもして当たり前だと思ってるのか?
まぁ、いいや。
私は自分の席に戻り、仕事を再開させた。
「派遣さん?頼んでたやつ出来た?」
宮崎さんにそう言われた。
「いえ、まだ……」
「まだ出来てないの?なるべく早くお願いね」
「はい……」
初日に仕事がベテラン並みに出来たら苦労しないよ。
宮崎さんや他の3人の職員さんのように、おしゃべりしながらなんて無理。
私はパソコンの画面を見ながら、黙々と作業を始めた。