イジワル先輩の甘い恋の魔法
「高原さん、次の仕事なんですが……」
派遣会社の小さな会議室。
リクルートスーツを着た私と担当者の前田(マエダ)さんが向かい合わせに座っていた。
前田さんは私が、この派遣会社に登録した時から担当でいろいろ世話をしてくれてる男性社員。
多分、20代後半くらい。
少し長めの髪にメガネをかけ、イケメンの部類に入ると思う。
初めて会った時にはドキッとしたのを覚えている。
でも左手の薬指に指輪をしているのを見た時に、既婚者か彼女持ちだとわかって、気持ちもスーと冷めていったけど。
私は前田さんが出してきた派遣先の資料に目を通す。
「高原さんって、事務の経験ありましたよね?だから、この仕事は高原さんにピッタリだと思うんですよね」
「はぁ……」
資料を見ながらそんな返事をする私。
資料に書かれている仕事は、中学校の事務の仕事。
確かに事務経験はあるけど私に出来るんだろうか……。