イジワル先輩の甘い恋の魔法
「なんで夏休みなのに仕事しなきゃいけねぇんだろうな?」
黒崎先輩はそう言って私の方をチラリと見た。
「それは学生じゃないからじゃないですか?」
「そんなことわかってるよ」
「じゃあ、聞かないで下さい!」
「お前はいいよなぁ」
「はっ?」
「お気楽な派遣社員でさ」
はぁ?
何も知らないくせに!
そんなこと言わないでよ!
私は残ったサンドイッチを黙々と食べ、カフェオレを飲み干し、ゴミをコンビニ袋に押し込んだ。
そしてベンチから立ち上がる。
こんなとこってか、この人と1分1秒も一緒にいたくない。
「もう戻るの?」
「お気楽な派遣社員は戻ります!」
私はそう言って、ゴミの入ったコンビニ袋を黒崎先輩に投げ付けた。