イジワル先輩の甘い恋の魔法
連れて来られた場所は理科室。
「あの、黒崎先輩、授業は?」
「この時間は俺の授業はない」
「そうなんですね」
黒崎先輩は私を置いて、隣の部屋に入った。
理科室とか懐かしいなぁ。
棚に入ってる実験道具。
それを見て学生時代を思い出していた。
「おいっ!給料泥棒!」
いきなり声をかけられてビクッとなる。
「給料泥棒って言わないで下さい!」
「これ、手伝え」
黒崎先輩は大量のプリントの束を机にドンっと置いた。
しかもそれが3束。
どうせ1枚ずつ重ねてホッチキスで留めろっていう定番のやつでしょ?
「こっちから1枚ずつ重ねてホッチキスで留めてけ」
やっぱり。
「わかりました」
「これ終わるまで帰らせねぇからな?」
「はい?」
私は派遣で就業時間が決まってるんですけど……。
こんな大量なプリントの束、就業時間内に終わるわけないじゃん!