イジワル先輩の甘い恋の魔法



プリントを1枚ずつ重ねてホッチキス留めの作業を黙々としている隣で、黒崎先輩は椅子に座りコーヒーを飲みながらスマホを弄っていた。


なに1人だけ呑気にコーヒー飲んでんのよ!


これ、誰の仕事だと思ってんの?


本当ならこれは黒崎先輩がやらなきゃいけないんでしょ?


人気のある黒崎先輩なら生徒に頼めば喜んでやってくれるんじゃない?



「黒崎先輩?」


「あ?」



黒崎先輩はスマホの画面を見ながらダルそうに返事をした。



「少しは手伝ってやろうとか思わないんですか?」


「うん」



今何と?


“うん”って、はっきり“うん”って言いました?



「やめた!」



私は作業をしていた手を止めた。



「はっ?」



スマホの画面から私を見る黒崎先輩。



「これ、私の仕事じゃないし、やらなくても私は困りませんから」



私はそう言って椅子から立ち上がった。



「えっ?ちょ、待てよ!」



慌ててる。


今更、慌てたって遅いわ!バーカ!


黒崎先輩の慌てた様子を見て笑いがこみ上げそうになるのを必死で抑えていた。




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