イジワル先輩の甘い恋の魔法
泣きながらホッチキス留めをしていく。
時計を見ると、もう放課後の時間はとっくに過ぎていて、就業時間も30分を過ぎていた。
黒崎先輩がいつ戻って来るのかわからない。
ハンカチを取り出し、涙を拭いていく。
ホッチキス留めも3分の1も出来ていない。
その時……。
理科室の扉が開いた。
帰って来た!
私は泣いてるのがバレないように下を向く。
「高原、もう帰っていいぞ?」
「でも、まだ残ってるし……」
「それ、別に今日明日いるもんじゃないし、また明日やってくれたらいいから」
「わかりました」
私は持っていたホッチキスを机に置いた。
椅子から立ち上がると、下を向いたまま扉の方に歩いて行く。
早く理科室から、黒崎先輩の前からいなくなりたかった。