イジワル先輩の甘い恋の魔法
車の中は会話はなく、私は流れる景色を見ていた。
景色と言っても山ばっかりだけど。
車の中という密室。
隣には黒崎先輩がいて、距離も微妙な感じだ。
私は黒崎先輩が大嫌い。
大嫌いなのに……。
大嫌いなはずなのに……。
でも、何で?
運転している黒崎先輩をチラリと見た。
少し斜めに構えて運転していて、ハンドルを握る長くて細い綺麗な指。
そんな黒崎先輩の横顔を見て胸が痛い。
“ドキドキ”してる。