イジワル先輩の甘い恋の魔法
黒崎先輩は黙ったままで、なぜ実家に帰れないのか理由も聞いてこなかった。
「だから仕事を辞めちゃうと生活出来なくなるので頑張らないとダメなんです」
「じゃあ、他のとこを探すとかあるだろ?」
「まだ契約期間だし、今辞めたら周りに迷惑かけちゃうので、契約期間が終わるまでは頑張ろうかなと……」
「お前は優しすぎるんだよ」
黒崎先輩はそう言って私の頭をポンポンとした。
「私は別に優しくなんか、ないです……。それに辞めちゃったら、あの人たちの思うツボでしょ?だったら最後までやってやろうっていう思いもあって……」
そんな話をしてたら涙が溢れてきた。
黒崎先輩の前では絶対に泣きたくなかったのに……。
でも一旦溢れ出した涙はそう簡単には止まらない。
次から次へと、どんどん溢れてポロポロと零れ落ちていった。