イジワル先輩の甘い恋の魔法
その瞬間、身体が床に倒れた衝撃があった。
周りから聞こえる悲鳴。
…………でも、あれ?
身体は床に倒れた衝撃で多少痛みがあっけど、あまり痛くない。
それに何かに守られてるような……。
私はゆっくりと目を開けた。
えっ?
黒崎、先輩?
私を抱きしめるような格好で、黒崎先輩が私の上に覆い被さっていた。
“ドクン”と跳ね上がる心臓。
「黒崎先輩?」
「大丈夫か?」
少し苦しそうに顔を歪めながらそう聞いてきた黒崎先輩。
涙がポロポロと溢れていく。
私を庇ったせいで黒崎先輩が……。
黒崎先輩は涙が止まらなくて嗚咽を吐きながら泣く私を見て力なく笑った。