イジワル先輩の甘い恋の魔法
「自分を責めないでね」
「ありがとうございます……」
「あっ!そうだ!」
送ってくれた先生は何か思い出すように、そう言うとカバンの中を漁った。
「あった!」
先生が出してきたのは1枚の紙切れ。
「黒崎先生が運ばれた病院名と入院してる病室の番号。これ高原さんにあげるね」
「えっ?」
「お見舞いに行って来たら?」
送ってくれた先生はそう言って紙切れを差し出すとニッコリ笑った。
私はそれを受け取る。
「じゃあ、私はこれで」
「はい、ありがとうございました」
もう一度、頭を下げた。
私は送ってくれた先生がアパートの階段を下りて行くまで廊下で見送っていた。