イジワル先輩の甘い恋の魔法
「はい」
中から黒崎先輩の声が聞こえた。
ゆっくりドアを開ける。
「高原……」
個室の病室。
窓側にベッドが置いてあり、ベッドのリクライニングを上げた状態で黒崎先輩はいた。
私を見ると驚いた顔をしている。
ゆっくり病室に入る。
黒崎先輩と目を合わせることが出来ない。
少し俯いた状態のまま、私はベッドの側まで行った。
足首からふくらはぎにかけて包帯をグルグル巻きにされていて、右肩から手首にかけてギプスで固定してある。
「見舞いに来てくれたのか?」
「はい」
私は俯いたまま返事をした。