イジワル先輩の甘い恋の魔法
黒崎先輩の痛々しい姿を見て、何とも言えない気持ちが込み上げてきた。
「ふくらはぎに傷と右腕の骨折だってさ。全治4週間ってとこかな?でもイケメンの顔に傷付かなくて良かったろ?」
黒崎先輩は明るくそう言うとクスッと笑った。
「えっ?」
全治4週間って……。
私、黒崎先輩にとんでもないことしちゃったんだ。
私のセイで……黒崎先輩が……。
「お前、えっ?じゃねぇだろ?そこは、そうですね。だろ?」
「…………ゴメン、なさい」
「高原?どした?」
俯いている私の顔を下から見るように黒崎先輩はそう言った。
「ゴメンなさい。私のセイで……」
涙がポロポロ溢れ落ちていく。
「高原のセイじゃねぇよ。だから自分を責めるな」
「でも……」
その時、黒崎先輩に腕を引っ張られた。
黒崎先輩の胸に飛び込むような感じになり、黒崎先輩は私の身体を左腕でギュッと抱きしめた。