イジワル先輩の甘い恋の魔法
消毒液と黒崎先輩の甘い香りが鼻を掠め、私の胸は痛いくらいドキドキと煩かった。
「ゴメン、なさい……」
謝る事しか出来ない私。
「誰のセイでもないから。これは事故だったんだし。だからもう泣くな」
「でも……」
「まぁ、誰かのセイにするとしたら高原を騙した宮崎のババアだな」
黒崎先輩はそう言ってクスッと笑った。
「高原もケガがなかったんだし、俺もこの程度で済んだしな」
この程度って、大ケガしてるじゃん……。
骨折は大ケガだよ。
泣きじゃくる私にそう言って、背中を優しく撫でてくれる黒崎先輩。
私が落ち着くまで、ずっと背中を優しく撫でてくれていた。