イジワル先輩の甘い恋の魔法




「ありがとうございました」


「では失礼します」



大きな荷物の運び入れと配置も終わり、引っ越し屋さんは帰って行った。


引っ越し屋さんと私が仕事をしている間、ずっとベランダにいた黒崎先輩。



「引っ越し屋さん、帰りましたよ」



私はベランダに出て黒崎先輩の隣に並んだ。



「うん」



ジャージ着て、引っ越し作業する気マンマンな格好してるくせに何もしてない黒崎先輩。



「疲れました」


「お疲れさん」



黒崎先輩はそう言ってニッコリ微笑む。


その笑顔がめっちゃムカつく。



「誰かさんが全く手伝わなかったセイで、1人で動き回って凄く疲れました」



だから、そう嫌味を言ってやった。



「俺は手伝わなかったんじゃねぇよ。遠慮しただけ」


「はい?」


「家具の配置は女の方が得意だろ?」


「そうですけど……」


「だから俺は遠慮したの」



そう言って頭をポンポンとしてくる黒崎先輩。


家具の配置以外にする事はあったのに。


ただ面倒臭いだけだったんじゃないの?


と、言いたかったけど、それを言うと何倍にもなって返ってくるから言葉をグッと飲み込んだ。




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