ピアノレッスン
「それに、ここは防音室ですよ、お嬢様」



ハッとして顔をあげると同時に、とんと肩を押された。


私はそのままピアノの椅子の上に押し倒される。


それと同時に両手を一緒に手首のところで押さえられた。


「どうして、私が突然お嬢様の専属執事になったか、不思議に思いませんでしたか?」



「え?」


「伸也様のご命令です」


「お兄ちゃんが・・・?」

なんで・・・?

こんな体勢で秋月に見下ろされて、私はすっかりパニックに陥っていた。


「・・・妹を自分から引き離してくれ、と。どんな手段を使ってもかまわない、とのことでした」

それは、私の気持ちを知ってて、迷惑だったってこと・・・?

「おわかりでしょう?伸也様は八木澤家の次期当主です。妹と・・・など、とんでもない」


それはわかる。

私だってわかってる。


だけど・・・
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